
物販専業の個人事業主となった僕は、カーシェアで車を借りて、埼玉・神奈川・千葉・群馬・栃木と関東近郊を巡り、1日10軒以上のリサイクルショップをはしごしていました。
トランクが満杯になるまで仕入れをして、帰宅後すぐに出品・梱包。そんな日々を繰り返すうちに、月50〜70万円ほどの利益が出るようになっていました。
少しずつ、“自由への階段”を登っているような気がしていました。
イベントを開いたり、初心者にノウハウを教えたりと、「ちょっとした起業家気分」も味わっていた頃です。
そんなある日、ネットビジネスの世界で僕よりもずっと成功している仲間から、こんな誘いを受けました。
「ビットコイン、やばいよ。これからとんでもないことになるから、セミナー来てみて」
尊敬する仲間の言葉だったこともあり、僕は二つ返事で参加。
そのセミナーで、初めて仮想通貨の世界を知りました。

──今となっては、ただ買って10年間持ち続けていただけで、人生は大きく変わっていたかもしれません。
しかし、そのセミナーではビットコインの仕組みの説明にとどまらず、BITREGION(ビットリージョン)というサイトへの投資を、やんわりと勧められました。
(そのサイトでは「投資」ではなく「寄附」と呼ばれていました)
そこでは、寄附した資金が日利1%で増えていくという、にわかには信じがたい話が展開されていました。
ちょうどその頃、物販で回していた資金が膨れ上がり、自分ひとりのマンパワーでは限界に達し始めていたタイミングでした。
そんな中で舞い込んだ“夢のような不労所得”のチャンス──僕は疑うことなく、それを信じてしまいました。
これまで貯めていた事業資金に加えて、限度額いっぱいのクレジットカード3枚。
(当時は、クレジットカードでビットコインが購入できていました)
気づけば、僕は合計350万円をつぎ込んでいました。
預けたコインが毎日3.5万円ずつ増えていく…そんな「夢のような不労所得」を、数ヶ月間だけ味わいました。
(→BTC価格は当時から約187倍になってるので、今で考えたら毎日650万ずつ増えてた——そんな話が成り立つ訳なさすぎる😂笑)
しかし──
1年も経たないうちに、サイトにはアクセスできなくなり、サポートは音信不通。
僕の“資産”は、まるごと蒸発していました。典型的なポンジスキームです。
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残ったのは、300万円以上のカード負債。
そして、奨学金の残債も合わせた、純資産マイナス700万円超という絶望的な現実。
ほんの数ヶ月前まで「好きなことで稼ぐ」「不労所得で自由になる」なんて語っていた自分が、
今や──信用も貯金も展望もない、ただの“無職の負債持ち”になっていました。
世界が灰色に見えました。
でも、どこかにまだ、火種のようなものがくすぶっていた気がします。
──ここで終わりたくない。
せめて、ゼロに戻したい。
そうして僕は、タクシーという「地に足のついた仕事」を選び、再起をかけて歩き始めたのです。
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📚 再起ストーリーの全体構成はこちら
- ▶ 第一章|早稲田卒、就職ゼロ。僕が最初に選んだのは浪人ではなく“迷走”だった
- ▶ 第二章|ネットワークビジネスと副業物販──それでも僕が『やってよかった』と思える理由
- ▶ 第三章|夢の“日利1%”が僕を破滅させた──ビットコイン詐欺で350万を失うまで(このページ)
- ▶ 第四章|どん底から、ようやく踏み出した一歩