第三章|夢の“日利1%”が僕を破滅させた──ビットコイン詐欺で350万円を失うまで

満載になったミニクロスオーバー
▲ トランク満載の当時よく乗っていたミニクロスオーバー(カーシェア)

物販専業の個人事業主となった僕は、カーシェアで車を借りて、埼玉・神奈川・千葉・群馬・栃木と関東近郊を巡り、1日10軒以上のリサイクルショップをはしごしていました。
トランクが満杯になるまで仕入れをして、帰宅後すぐに検品・商品登録・梱包。そんな日々を繰り返すうちに、月50〜70万円ほどの利益が出るようになっていました。

少しずつ、“自由への階段”を登っているような気がしていました。
渋谷のBARで貸切イベントを開いたり、初心者向けの物販セミナーを開いたりと、「ちょっとした起業家気分」も味わっていた頃です。

🔹 物販で月70万稼いでいた僕に訪れた“甘い誘い”

そんなある日、ネットビジネスの世界で僕よりもずっと成功している仲間から、こんな誘いを受けました。

「ビットコイン、やばいよ。これからとんでもないことになるから、セミナー来てみて」

尊敬する仲間の言葉だったこともあり、僕は二つ返事で参加。
そのセミナーで、初めて仮想通貨の世界を知りました。

🔹 「日利1%で資産が増える」──BITREGIONという仮想通貨投資サイト

ビットコイン
▲ 当時、1BTC=6〜8万円 (※2025年6月現在、1BTC=1,500万円超)

──今となっては、ただ買って10年間持ち続けていただけで、人生は大きく変わっていたかもしれません。

しかし、そのセミナーではビットコインの仕組みの説明にとどまらず、BITREGION(ビットリージョン)というサイトへの投資を、やんわりと勧められました。
(そのサイトでは「投資」ではなく「寄附」と呼ばれていました)

そこでは、寄附した資金が日利1%で増えていくという、にわかには信じがたい話が展開されていました。

ちょうどその頃、物販で回していた資金が膨れ上がり、自分ひとりのマンパワーでは限界に達し始めていたタイミングでした。
そんな中で舞い込んだ“夢のような不労所得”のチャンス──僕は疑うことなく、それを信じてしまいました。

これまで貯めていた事業資金に加えて、限度額いっぱいのクレジットカード3枚。
(当時は、クレジットカードでビットコインが購入できていました)

気づけば、僕は合計350万円をつぎ込んでいました。

🔹 クレジットカード3枚で350万円を投資──そして全て失った

預けたコインが毎日3.5万円ずつ増えていく…そんな「夢のような不労所得」を、数ヶ月間だけ味わいました。

BTC価格は当時から約187倍になってるので、今で考えたら毎日650万ずつ増えていた——そんな話が成り立つ訳なさすぎる😂笑

しかし──
1年も経たないうちに、サイトにはアクセスできなくなり、サポートは音信不通。
僕の“資産”は、まるごと蒸発していました。典型的なポンジスキームです。
👉️ めちゃくちゃ危ない!僕たちが騙されたポンジスキームとは?

🔹 典型的なポンジスキームの末路と残された履歴

僕自身の3つあったうちのひとつのアカウントです。ここには保有上限の30BTCがありました。

寄付(出資)した金額の1%が毎日配当としてもらえるので、残高がまるでストップウォッチのようなスピードで増えていました。

▲ BITREGIONの当時の着金履歴(クリックで拡大)

GH(Get Help):寄付を募った数量
Filled:実際に着金した数量

キャプチャの通り、2016年末までは自由に出金することができていたのに、2017年に入ってから申請した数量が手元に戻らなくなりました。

ヤバいと感じて25BTCを申請しても着金せず、残りの3BTCと2BTCを日を置いて申請しても“Canceled”になった経緯が生々しく残っています。

🔹 借金700万円超、資産ゼロ以下からの再スタート

残ったのは、300万円以上のカード負債
そして、奨学金の残債も合わせた、純資産マイナス700万円超という絶望的な現実。

ほんの数ヶ月前まで「好きなことで稼ぐ」「不労所得で自由になる」なんて語っていた自分が、
今や──信用も貯金も展望もない、ただの“無職の負債持ち”になっていました。

世界が灰色に見えました。

でも、どこかにまだ、火種のようなものがくすぶっていた気がします。

──ここで終わりたくない。
せめて、ゼロに戻したい。

そうして僕は、タクシーという「地に足のついた仕事」を選び、再起をかけて歩き始めたのです。

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高峰 凌
36歳/東京近郊在住/妻と0才児の3人家族/11月まで育休中/投資詐欺で全財産喪失/ゼロから資産形成→FIREを目指すタクシードライバー